更年期障害と成分・ホルモン
2017年04月27日更新 2017年04月28日公開

更年期を診断する基準のひとつ、ゴナドトロピンとは

さまざまな不調に対して更年期障害が疑われるとき、診断の基準として着目される要素のひとつにゴナドトロピンというホルモンがあります。ゴナドトロピンは更年期障害とどのように関係しているのか、ドクター監修の記事で解説します。

更年期障害の検査に、ゴナドトロピンというホルモンの分泌を測定することがあります。このゴナドトロピンは更年期の診断や更年期障害の諸症状にどのように関係しているか、解説していきます。

性腺刺激ホルモン「ゴナドトロピン」とは

ゴナドトロピンは、性腺を刺激するホルモンです。男性にも女性にも分泌されるホルモンで、卵巣や精巣に働きかけ、卵胞の発育や精子の生成などを促します。ゴナドトロピンには、脳の下垂体から分泌されるものと、胎盤の絨毛から分泌されるものとがあります。妊娠検査のときによく目にする「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン」は、胎盤絨毛から分泌されるゴナドトロピンで、妊娠中に分泌されます。更年期障害との関係が指摘されているのは、下垂体から分泌されるゴナドトロピンです。

下垂体から分泌される2つのゴナドトロピン

下垂体から分泌されるゴナドトロピンには、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の2種類があります。それぞれのホルモンについて、どのような作用をするのかみていきます。

卵胞刺激ホルモン(FSH)

卵胞刺激ホルモンは、卵巣に作用し、卵巣内の卵胞が発育するのを促します。また、女性ホルモンのひとつ、エストロゲンの分泌を促す働きもあり、これによって分泌されたエストロゲンが黄体形成ホルモン分泌を促進します。男性の場合は、分泌された卵胞刺激ホルモンは精巣に作用し、精子の形成を促進します。

黄体形成ホルモン(LH)

もう一方の黄体形成ホルモンは、排卵を起こすよう作用するホルモンです。卵胞が卵巣内で成熟しすると、そのなかでもっとも発育した肺胞がはじけ、卵子が卵管に向かって飛び出します。これが排卵で、黄体形成ホルモンはこの排卵を促す刺激となります。また、黄体を形成し、その黄体からもうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンを分泌させます。プロゲステロンは、妊娠の継続をサポートするホルモンで、分泌されると受精卵が着床しやすいよう子宮内膜を厚くします。一定期間が経っても受精卵の着床がなければ子宮内膜ははがれ落ち、生理の際の経血として体外に排出されます。男性では、黄体形成ホルモンは精巣の、精子形成とはまた別の部分に作用して、男性ホルモンのひとつ、テストステロン分泌を促します。

ゴナドトロピンはどのように分泌されるか

卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン、この2種類のゴナドトロピンは、いずれも脳の下垂体から分泌されますが、その分泌を促すホルモンがあります。ゴナドトロピン放出ホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン:GnRH)です。これは、脳の視床下部から分泌されます。ゴナドトロピン放出ホルモンが脳の視床下部から分泌されると、下垂体の前葉と呼ばれる部分に作用をおよぼし、ゴナドトロピンの産生、分泌が促進されます。

ゴナドトロピンの分泌量を調整しているのは、ゴナドトロピンによって分泌を促されたエストロゲンやプロゲステロン、テストステロンです。これらの性ホルモンは、卵胞や子宮内膜、精子形成に働きかけるとともに、視床下部や下垂体にフィードバックの作用をもたらします。性ホルモンの分泌量の増減が視床下部や下垂体に伝わると、ゴナドトロピン放出ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌量が調整されます。

特に、エストロゲンやテストステロンは、視床下部に働きかけ、ゴナドトロピン放出ホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン:GnRH)の分泌を調整するよう作用します。血中のエストロゲンやテストステロンの量が減ると、それが視床下部にフィードバックされ、ゴナドトロピン放出ホルモンを出します。それによって、ゴナドトロピンの分泌を促進し、エストロゲンやテストステロンの生成分泌を増加させます。つまり、ゴナドトロピン分泌のコントロールは、この性ホルモンによるフィードバック機能によって行われているのです。

ゴナドトロピンと更年期障害

性ホルモンは、年齢によって分泌量が変化します。女性ホルモンも男性ホルモンも、思春期を迎える頃から分泌量が増加し、20代から30代の時期にピークとなります。そして年齢を経るにしたがって、卵巣や精巣の機能が徐々に低下していき、性ホルモンの分泌量も減少していきます。

更年期と呼ばれる時期を迎えると、卵巣や精巣の機能低下はさらに進みます。性ホルモンの分泌が減少していることを知らせるフィードバックが視床下部に送られ続け、ゴナドトロピン放出ホルモンが多量に分泌されます。ゴナドトロピン放出ホルモンは、下垂体に刺激を送り、しきりにゴナドトロピンを分泌し、性ホルモンの産生、分泌を促します。しかし、機能が衰えてしまった卵巣や精巣からは、それに見合うだけの十分な量のホルモンが産生、分泌されなくなってしまうのです。

性ホルモンの分泌を促し続けているにもかかわらず、分泌量が増えないため、視床下部や下垂体はゴナドトロピン放出ホルモンやゴナドトロピンを分泌し続けます。視床下部や下垂体はパニック状態に陥り、ついには過労の状態になってしまいます。

視床下部は、性ホルモンの分泌をコントロールするばかりでなく、自律神経の中枢をも担っています。その視床下部がパニック状態になったり過労状態になったりするために、自律神経のバランスにも大きな影響がおよびます。ほてりやのぼせ、動悸などの身体的な不調や、イライラ、憂鬱などの精神的な不調など、自律神経失調症のような症状が引き起こされやすくなります。これらの症状が、更年期障害と呼ばれるものです。

このように、更年期になると性ホルモン分泌のフィードバック機能により、ゴナドトロピンの分泌量が増加することがわかっています。そのため、なんらかの不調に対して更年期障害が疑われる場合には、血液検査で血中のゴナドトロピンの値を測定し、診断の要素とすることがあります。更年期障害の血液検査で行われている、血中のゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモンおよび黄体形成ホルモン)値の検査については、『更年期障害の血液検査で何が分かるの?』で詳しく説明しています。

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